しかし労働力不足は、移民の減少だけが原因ではない(事実、今もイギリスの移民の割合は高い)。50歳以上の人たちが早期退職を選んでいることも一因だ。コロナ禍をきっかけに人生の優先事項を見つめ直した人が大勢いるのだ ( 「年を取るまで一日中働き続けるには、人生は短すぎる!」)。

ある意味、若者にとってはチャンスだ。裕福な高齢世代がいい仕事を独占しなくなれば、若い世代にチャンスが巡ってくる。

イギリスで不足している労働力を示す、驚くほど具体的な数字がある。36万人だ。だが、もう1つの具体的な数字がある。職業訓練・教育機関のシティ・アンド・ギルズによれば、働く気がない18〜24歳の若者が22万7000人いる。裕福な高齢世代は人生を見直して賢明に早期退職を決めているかもしれないが、若者たちは単に昔ながらの「ドロップアウト」をしているだけだ。

イギリスとそこに住む若者たちは、経済が厳しい今こそ現実を直視すべきだ。メディアやファッションなど華やかな業界で働きたいという非現実的な期待を抱く大卒者を減らし、手に職を付けた若者を増やす必要がある。労働市場の逼迫は以前からあった問題が顕在化しただけで、ブレグジットが引き起こした問題ではない。

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