■「3月のキリン」に潜むリスク要因

リスク要因としては、とりわけ原材料価格やエネルギーコストの動向、為替変動、国内ビール需要の縮小が依然として挙げられます。酒税一本化が需要の大幅回復に直ちにつながる保証はありません。消費者が価格差よりも節約志向を優先する可能性もあります。

ライバルのアサヒも、ブランド力の強さを背景に業績と信頼の回復が進めば、再評価される余地は十分にあります。一本化の恩恵を最も直接的に受けるのは、やっぱりアサヒ......となる可能性は否定できません。

ただ、価格競争から収益力競争へと移行する場面では、複数の成長軸を備えた企業が安定感を持ちやすく、現時点ではキリンのバランスの良さが光ります。

3月相場の「勝ち組」はバランス重視で

「ビールが売れない時代」と言われます。それでも、制度が変わるとき、株式市場ではそれを「チャンス到来!」と捉えます。

王道のビールで攻め通す姿勢のアサヒ。立ち向かうは、ビールの枠に留まらず、価格設計と3つのコア事業による安定性で勝負に挑むキリン。

季節性に加え、ディフェンシブ回帰、さらには酒税改正。3つのテーマが重なる2026年の3月で最もバランスの取れた選択肢はキリンではないか──「一番搾り」を片手に、筆者はそう考えています。

【関連記事】 【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
【銘柄】なぜ?「サイゼリヤ」の株価が上場来高値...好決算と円高転換が示す新たな成長要因

[筆者]
岡田禎子(おかだ・さちこ)/個人投資家、ファイナンシャル・プランナー

証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの人に伝えられるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)。note:https://note.com/okapirecipe_555

ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます