円高メリット銘柄としての真価が問われる局面へ

サイゼリヤを語る上で欠かせないのが、為替変動による収益へのインパクトです。同社はワイン、チーズ、パスタ、トマトソースなどの主要食材をイタリアやオーストラリアから直輸入しており、伝統的に円高が業績にプラスに働く「円高メリット銘柄」の筆頭格として知られています。

今回発表された第1四半期決算において、実は為替の影響はネガティブに働いていました。松谷秀治社長は記者会見で「単価改善に取り組んでいるが、為替の変動で全て消えてしまう」と述べており、実際、円安やコメなどの原材料高騰の影響で、売上高原価率は上昇していました。

つまり、これまでのサイゼリヤは、円安による輸入コスト増という重石を背負いながらも、客数増と経費削減で利益を捻出していたのです。

しかし、この状況が一変する兆しが見え始めています。1月28日の東京外国為替市場では、円相場が一時1ドル=152円台半ばまで急伸。日米通貨当局による協調介入への警戒感や、トランプ大統領によるドル安容認発言を受け、市場のトレンドが円高・ドル安へと大きくシフトしつつあります。

仮にこの円高基調が定着すれば、サイゼリヤにとっては二重のメリットが生じます。

第一に、海外から輸入する食材の調達コストが直接的に低下します。これまで原価率を圧迫していた要因が解消されることで、利益率の劇的な改善が見込まれます。第二に、サイゼリヤはオーストラリアに食材製造の自社工場を持っており、円高は、現地で製造して日本へ輸入する際のコスト低減にも寄与します。

円安という向かい風の中でさえ最高益を出したサイゼリヤにとって、為替が円高という追い風に変わることは、業績の上振れ余地が極めて大きくなることを意味します。これが、投資家が今サイゼリヤに熱視線を送る最大の理由の一つです。

DX推進による構造改革も利益率を押し上げ

外部環境の変化だけでなく、内部的な構造改革の成果も数字に表れています。なかでも注目したいのは販管費率の改善です。

これを支えたのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進です。サイゼリヤはQRコードと顧客自身のスマートフォンを活用した注文方式の導入を進め、2025年12月末時点で全店舗への導入を完了。これにより、ホールスタッフの注文業務が削減され、生産性が向上しました。

証券会社のアナリストも、この「テーブルオーダーシステムの導入や従業員教育による生産性改善」を高く評価しており、日本の外食産業におけるマージン改善の成功モデルとして捉えられています。

円高が原価率を引き下げ、DXが販管費率を引き下げる。この両輪が噛み合うことで、サイゼリヤの利益創出力はかつてない高水準に達しようとしています。

サイゼリヤの懸念材料と今後の株価の見通しは?