<政権に有利な判断が続いてきた最高裁が、今回は関税政策にブレーキを踏んだ。決め手は、条文と憲法が示す「線引き」だった──>
米連邦最高裁判所がトランプ大統領の看板経済政策にノーを突き付けた。最高裁は2月20日、9人の判事のうち6人の多数意見により、トランプ政権の相互関税などの関税政策を憲法違反と判断した。
トランプ政権の関税政策の法的根拠は常に危ぶまれていた。同政権は国際緊急経済権限法(IEEPA)という法律を根拠に、大統領には自らの判断で関税を課す権限があると主張してきた。
しかし、このIEEPAは関税やその他の税に全く言及していない。同法は、国外の「特異で重大な脅威」に対処するために、貿易を「規制」する権限を大統領に与えているだけだ。
この点に関してトランプ政権側は、大統領の裁量で関税を課すことにより貿易を規制できると主張。そのような措置を正当化する「緊急事態」として、長期にわたる貿易不均衡と、合成麻薬フェンタニルの密輸入を挙げた。
ジョン・ロバーツ長官など6人の判事たちは、こうした政権側の主張を退けた。
合衆国憲法は、関税に関する主たる権限を大統領ではなく議会に与えていると、ロバーツは指摘した。国民の資産を徴収することの重大性を理由に、憲法起草者たちは、議会だけにその権限を認めたのだ。
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