<自由を抹殺しながら成長を維持するという「壮大な社会実験」を世界が見つめている>

※この記事は後編です。前編「毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き進む習近平氏が恐れる『ソ連崩壊の悪夢』」はリンクからご覧ください。

だが、中国がソ連と同じ道を歩むとは限らない。確かに習は、国家と経済、そして社会に対する党の支配を強化してきた。国家主席に就任した当初から「党が全てを指導する」という毛沢東の言葉を引用し、「政府、軍隊、人民、学界を問わず、そして東西南北と中央とを問わず、党が全てを指導する」と強調してきた。

【動画】習近平の権威主義的な姿勢は、どのようにして中国経済を殺すのか

08年の世界金融危機以降、中国共産党は社会全体に政策を浸透すべく、民間企業(外国企業を含む)やNGO、大学など、あらゆる組織に党委員会を設置して、党の指導を徹底してきた。また、党の中央統一戦線工作部が企業経営者と面談して、党の期待を伝え、党と「政治的、知的、感情的に一致」させてきた。

ジャック・マー転落の意味

だが習の取り締まりは、とりわけテクノロジー分野でイノベーションを窒息させていると、専門家は言う。よく例に挙がるのは、配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)が党の反対を押し切って、アメリカで新規株式公開(IPO)に踏み切ったところ、党の激しい圧力を受けて上場廃止に追い込まれたことだ。

ネット通販最大手のアリババ集団をゼロから築いた大富豪の馬雲(ジャック・マー)の凋落も、よく例に挙げられる。馬が政府の金融規制を公然と批判した後に、アリババの金融子会社アント・グループのIPOが3日前に突然中止になり、馬は表舞台から姿を消した。

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