
文化的無神経のリスク
メディニの投稿に反応した1人がパレスチナ出身の父親を持つハディッドだ。「このブランドが今も支持されているのが衝撃。恥ずかしいことだ」と記し、こう付け加えた。「長年の人種差別、性差別、偏見、外国人恐怖症(ゼノフォビア)......今さら驚かないけど」
こうした反応はブランド評価の基準が変化している証拠であると、ファッション・ラグジュアリー業界コンサルタントのケント・リーは指摘する。「もはや美意識や職人技だけではない。社会的価値や文化的理解、倫理的な姿勢が重視されている」
著述家で、オーストリア・リンツ美術工芸大学客員教授のカタリナ・サンドは「普段はもっと多様なモデルを起用するブランドだけに、今のように多様性が重視される時代にこの構成とは驚かされた」と本誌に語る。その一方、今シーズンのショーでは「男性のボディー・ポジティビティー(ありのままの体形に誇りを持つこと)の全体的な欠如」が目に付いたという。「あまりに長い間、見過ごされてきた問題だ」
今回の騒動はブランド側に影響を与えるのか。「排他的、あるいは文化的に無神経だとの見方が今後も続けば、特に北米や欧州の若く多様性のあるラグジュアリー消費者に見放されるリスクがある」と、リーは話す。
「危惧すべきは売り上げではない。世界的に評価される高級ブランドという位置付けが徐々に変化し、創造性ではなく論争を象徴する存在になることだ」
ドルチェ&ガッバーナは本誌の取材に対し、現時点でノーコメントのままだ。
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