『中高年シングル女性──ひとりで暮らすわたしたちのこと』(和田靜香・著、岩波新書)という本のタイトルが思い出させたのは、2020年11月に東京都渋谷区で、ホームレス状態の女性が男性に殴打され亡くなった事件だった。

あの一件が浮き彫りにしたのは、亡くなった女性だけでなく、中高年期にあるシングル女性の多くが直面している現実だ。

あの一件が浮き彫りにしたのは、亡くなった女性だけでなく、中高年期にあるシングル女性の多くが直面している現実だ。
つまり私も含めた多くの人は、窮地に追い込まれている女性が想像以上に多いらしいということを痛感させられたのである。
著者もまた、かつてはそうした状況にあったようだ。
私は専門学校を卒業してからフリーランスで働いてきた60歳の独身で、都内にひとりで暮らしている。40代半ばから50代半ばまでの十数年間は主に飲食業やコンビニなどのアルバイトで生計を立て、年収150万円程度の中で暮らしに窮していた。住むところにも困りながら、「私が悪い、私のせいだ」と悩んではどうにもできない日々。当時は中高年シングル女性には何ら支援体制がないとか、女性がひとりで働いて生きることを想定されていない社会構造に問題があるとか、気が付いていなかった。知る術がなかったのだ。(3ページより)
※編集部注:漢数字は算用数字に変更した(以下同)。
今も問題が解決したわけではなく、日を追うごとに危機に向かって進んでいるように感じてもいるという。加齢とともに「老い」の不安も絡みつくようになり、「死ぬまで働く」という望みが叶うのだろうかという思いを抱いているそうだ。
見逃すべきでないのは、同じような壁と向き合っている人の多さだ。
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