この戦略は少なくとも現時点では、企業の競争力維持に寄与するかもしれないが、東アジアの産業を空洞化させるリスクもはらんでいる。

企業がアメリカでの生産を拡大すれば、国内生産を削減せざるを得ない。トヨタは「2国間貿易関係の改善」のため、26年からアメリカ製の車を日本国内で販売する計画を立てている。

東アジア経済の課題をさらに複雑にしているのが、中国の動きだ。かつては急成長する中国経済がしばしば、近隣諸国の国内産業を後押しした。ところが中国が技術や部品を供給するバリューチェーンの上流へ移行するにつれライバル的な存在になっている。

中国は、アメリカの高関税への対応として近隣諸国へ安価な品を押し付けてもいる。インドネシアの繊維大手スリ・レジェキ・イスマンが25年に破産した一因は、中国からの繊維製品の大量流入だ。同様に安価な中国鋼材の流入で、ポスコの利益は24年に約40%急落した。

米中という二大経済大国が東アジアの産業空洞化を招いている現在、これら経済圏の先行きは暗く見えるかもしれない。

だが必ずしもそうとは限らない。かつて多くの分野で競合していた日本と韓国は近年、互恵的な協力の機会を生み出している。

日韓協調が産業を守る