<「トナカイ」のことは、日本人なら皆知っている。ただ、その生態を知っている人は少数派だ>

毎年この季節になると、街にはトナカイのイメージがあふれ返る。でも、トナカイってそもそもどんな動物なの?

【動画】トナカイのあれこれ

筆者は動物学者としてトナカイについても調べてきた。トナカイの鼻は本当に赤いのか、なぜ夏と冬で目の色が変化するのかなど、その不思議な生態を紹介しよう。

まず、トナカイは北極圏など北の大地に生息する草食動物だ。北極圏はほぼ年間を通して地面が雪と氷に覆われているため、主な食べ物は岩や木に生える地衣類。草やコケ、菌類も手に入れば食べる。

「赤鼻のトナカイ」というクリスマスソングは誰でも知っているが、トナカイの鼻は実際に赤くなる! 鼻の血流は、体温調節のため熱の放出を増減させる際に増えたり減ったりする。トナカイが空を飛んだ後(!)など、体温が上がってクールダウンする必要があるとき、血液が鼻の近くに送り込まれて赤く見えるのだ。

トナカイは鼻だけでなく目の色も変化させる。夏はターコイズがかった金色に輝き、冬は濃い青色になる。この色の変化は、冬は光のない極地で生活するトナカイが季節ごとに光の量を調整し、明るい所や暗い所でもよく見えるようにする仕組みだ。

だが寒冷地に生きるトナカイも、近年は地球温暖化の影響を受けつつある。研究者たちがフィンランドでの極端な熱波に対する雌のトナカイの反応を調べたところ、体温上昇と心拍数低下によって活動量が減り、脂肪を十分に蓄える能力が低下していた。

地球温暖化に加え人的活動で生息地が破壊された結果、2016年に絶滅危惧種に指定された。世界の個体数は約480万頭から15年には約290万頭へと減少している。

ただ幸いなことに、トナカイを飼っているのはサンタクロースだけではない。多くのトナカイが人の管理下で飼育されているため、少なくともしばらくの間の生存は保証されている。それでも、冬の繁忙期にそりの引き手が減りつつあることは間違いない。

The Conversation

Julie Old, Associate Professor, Biology, Zoology, Animal Science, Western Sydney University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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