その後、7月に入ると症状は一気に悪化した。

「精神病に近い状態になりかけた。ある夜、現実感を失ったようになり、真夜中に私のドアを叩いて『病院に行かなきゃいけない』と言い出した。理由は分からずとも、何かが起きていることは本人にも分かっていた」

「それからは恐怖に襲われる発作を何度も繰り返した。本当に異常な状態だった。ラシーは恐怖に支配されていた」

ラシーは複数の医師の診察を受け、そのたびに不安障害や抑うつ状態と診断された。しかしクリスタルには、もっと深刻で、はるかに恐ろしいものに見えたと語る。

「こんな言い方は辛いけれど、何かに取り憑かれたようだった」

やがてラシーは自殺をほのめかすようになり、寝室を何度も壊し、窓ガラスを割ったこともあった。8月には、精神科病棟に入院させてほしいと懇願するまでに至った。

精神科医たちも、何が起きているのかをうまく説明できずにいたという。打つ手がないと感じた家族は、自分たちで情報を集め始め、そこで「PANS」に行き着いた。

ラシーを苦しめた「PANS」とは何か?