といっても、非正規から正規への移動は多くはなく、「学校卒業時に正社員として就職するように」と、親や教師は言い聞かせている。新卒時の正社員就職が叶わなかった場合、新卒のカードを維持すべく、わざと留年をする学生だっている。まだまだ新卒至上主義は根強い。だが海外は違うようだ。<図1>は、学校卒業時にどういう仕事に就いたか、という設問への回答を4カ国で比べたグラフだ。

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日本では民間正社員という回答が64%と最も多いが、フランスとスウェーデンでは、パート・派遣といった非正規雇用が最多となっている。採用に際して専門性が重視されるので、経験のない新卒者が正職員として採用されることは主流でなく、パートといった形で経験を積みながら、徐々に「パーマネント」へと移行していく。何も書き込まれていない「白紙」の新卒を採用し、企業内訓練で育て上げていく日本のやり方とは違う。

だが日本の企業も体力がなくなり、即戦力を求めるようにもなってきた。その候補となり得るのは、新卒の若者だけではない。正社員に仕事を教えるまでの力量を持つ非正規職員も含まれる。人手不足、採用難の時代と言われるが、落ち着いて足元を見渡してみてはどうか。中高年層の正社員採用を阻む、年齢主義の賃金制度も見直すといい。

<資料>
総務省『就業構造基本調査』
内閣府『少子化社会に関する国際意識調査』(2020年度)

【グラフ】学校卒業後に初めて就いた仕事の雇用形態(国際比較)