李大統領と会談、スターゲートに弾み
とはいえ、明るい材料もある。SBGは11月下旬、米半導体アンペア・コンピューティングの買収を完了した。今後はSBG傘下の英半導体設計アーム・ホールディングスと組み、AIデータセンター向けCPU(中央演算処理装置)の開発を強化する計画だ。野村証券の増野大作リサーチアナリストは「(全米のAIインフラを整備する)スターゲート計画における5000億ドルの投資の中心はAIサーバーであり、SBGにとって自社チップによる収益機会は大きい」との見方を示す。
孫氏は今月5日、韓国を訪問して李在明大統領と会談する。スターゲート計画における半導体分野での連携を協議するとみられ、プロジェクト推進に向けて着々と手を打っている。
ただ、米ウーバー・テクノロジーズや中国のネット不動産仲介の貝殻找房など、国や業種をまたがって様々なユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)に投資をしていた頃と異なり、現在はAI関連企業にターゲットを絞って大量の株式を保有する。
ビジョンファンドの元幹部はロイターの取材に「孫さんは以前からAI時代を予見していただけに、勝ち筋がよく見えてきているのだろう」と語る一方で、SBI証券の鶴尾充伸シニアアナリストは「投資ポートフォリオの相関係数が非常に高く、収益の振れ幅が大きくなっているのは間違いない」と指摘。AIバブルの崩壊などに備えて「LTV(保有株式に対する純負債の割合)の引き下げを検討しても良いのではないか」と話した。
孫氏の「最後の賭け」はどう進むのか、世界中が固唾を飲んで見守る日々は来年も続きそうだ。
(小川悠介 編集:久保信博)

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