西洋化を急ぐ政府が武士の抵抗を弾圧した明治初期という時代設定は、『ラスト サムライ』と同じ。今村翔吾の小説が原作だが、韓国発の大ヒットドラマ『イカゲーム』にそっくりだと感じる視聴者も多いかもしれない。

もっとも『イクサガミ』により強い影響を与えたのは、深作欣二監督の『バトル・ロワイアル』(2000年)だろう。「デスゲーム物」のジャンルはここから生まれた。

岡田准一演じる貧しい剣客嵯峨愁二郎は、病に倒れた妻を救いたい一心で「蠱毒(こどく)」に身を投じる。賞金10万円(現在の貨幣価値で数十億円)をめぐり、腕に覚えのある292人が京都から東京を目指しながら殺し合うデスゲームだ。

アイドルから映画スターへと脱皮した主演の岡田は、今回プロデューサーとアクションプランナーも兼任した。共同脚本および共同監督は、19年の『新聞記者』で数々の賞に輝いた藤井道人監督だ。

セットから特殊効果まで贅沢に製作費を投じた映像は、『SHOGUN』と比べても遜色がない。緻密に振り付けられたアクションが満載で、とりわけ292人が死に物狂いで殺し合う京都・天龍寺の大乱闘は必見だ。

岡田がリアリズムにこだわったおかげで(天龍寺の292人は全員が本物の俳優で、CGは使われていない)、ゲームの参加者が限界まで戦う姿は実に生々しく迫力がある。

『イクサガミ』に息づくレガシー