<免疫の衰えとともに、静かに体に溜まっていく「老化細胞」。110歳を超える人々の体に共通する「炎症の少なさ」について>

老化は、単純なしくみで説明できるものではなく、さまざまな要素が複雑に関わり合う現象である...。生命科学者の吉森保・大阪大学名誉教授がノーベル賞級の研究者たちに取材した、最新研究とは?

話題書『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』(日経BP)より、「炎症とは何か」より一部編集・抜粋。

 
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慢性炎症は、免疫の掃除が追いつかなくなっている状態

私たちの体の中では、年をとると「老化細胞」と呼ばれる細胞が増えてきます。

通常、細胞は新しく入れ替わります。細胞は古くなると、体内の免疫が出動、その細胞を除去します。そのあと、細胞の母となる細胞からまったく同じものが分裂してくるのです(脳や心臓の細胞のような生まれてから死ぬまで、ずっと同じひとつの細胞もあります)。

しかし、人が年齢を重ねると、細胞は入れ替わりがうまくいかず、「もう分裂するのはやめた。でもまだ生きたい」とでも言いたげに、体内に留まりはじめます。

通常は古くなった細胞を除去してくれるはずの免疫が、その手が回らずに残ってしまっている状態です。これが老化細胞です。この老化細胞が、慢性炎症と関係があります。なんと、老化細胞になった細胞は炎症物質を出し続けるのです。

こうなると、まるで「みんなも私と同じになれ~」と言うかのように、まわりに炎症物質をばらまき、そこから炎症が起こります。それが「SASP(細胞老化随伴分泌現象)」と呼ばれる現象です。

そもそも、なぜ老化細胞が炎症物質を出すかというと、免疫を呼び寄せて、不要になった老化細胞を取り除くためです。免疫は「古くなった細胞さん、おつかれさまでした。きれいに片づけますね」と言わんばかりに老化細胞を片づけてくれます。

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慢性炎症は病気の原因になる