
増える一方の高齢者が、恵まれた社会保障給付を吸い込み、その制度を支える若者が厳しい状況に置かれる──。これはアメリカだけでなく、多くの先進国が直面している問題だ。そしてどの国の政府も、資金不足を賄うために借金を重ねている。
米財務省とIMF(国際通貨基金)に計40年間勤務してきたエコノミストのマーク・ソベルは、アルゼンチンやギリシャといった国の財政危機を見てきた。そして今、先進国が同じ道をたどっていると指摘する。
何かをきっかけに、国債価格が暴落して利回り(長期金利)が急上昇すれば、米政府は厳しい選択を強いられると、ソベルは懸念する。
なにしろアメリカの政府債務は、既に対GDP比122.5%に達する。アメリカだけではない。IMFの4月の統計では、フランスの政府債務も対GDP比116%、イタリアは137%、スペインは100%超、イギリスも約104%に達する。「先進国が新興国のように無責任に借金を重ねている」とソベルは嘆く。
IMFは長年、貧困国に融資するとき、歳出を減らし、増税に踏み切り、財政の持続可能性を回復するようにというシンプルな条件を付けてきた。ところが今、世界で最も裕福なIMF加盟国が、こうした基本的ルールを守れていない。
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