なぜなら、ジャーナリストが戦争や紛争のある国に行くのは当たり前だと思うから。他国のマスコミの取材に依存すれば情報源を確認することは難しいし、独立した取材ができない。

もちろん人質になるリスクや殺されるリスクがあることは否定できないけれど、フランスの場合は戦場に行く記者を批判するよりも応援する。

安田さんはその一例として、「海外の場合、拘束された記者が帰国する際には大統領が出迎えに行く」と語った。それは事実だ。

今回の裁判で最もびっくりしたのは、国の弁護士の態度だった。安田さんへの質問はただ一つ。旅券を申請した目的は旅行だけだったのか。質問の意図は明らかだった。

安田さんは旅行目的で旅券を申請したが、実はまた取材に行くつもりだった、と国の弁護士は言いたかったのではないか。

でも、その質問も意図も無意味だと私は思う。パスポートを申請する際、今後10年間でどんな目的でどこへ行くかを書く必要はない。次の渡航の目的を説明するだけで済む。

国の弁護士がほかの質問をしなかったことは何らかの戦略があるのかもしれないけれど、あまりにも理解しづらい。

罪のない人のパスポートを発給しないことは、ちゃんとした説明がなければ誰も納得できない。国は4年以上もその説明責任を果たしていない。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン

KARYN NISHIMURA

1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。Twitter:@karyn_nishi
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