<「経済活動ができるのは生物多様性あってこそ」...廃材に地域生態系の物語を吹き込み、新たな価値を生み出した異分野協働のプロジェクトが愛知県で実施された>

「生物多様性の保護」はあらゆる企業の経営課題となりつつある。

その潮流の中心にあるのは、「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」だ。企業活動が自然資本(水、森林、土壌など)にどれだけ依存し、どのような影響を与えているかを評価し、生じる事業リスクを開示するための国際的な枠組みである。

世界的に見ても日本企業は、生態系の負荷を減らすことに積極的だ。しかし、そういった姿勢を、どのようにステークホルダーに届けるべきなのだろうか? 血の通ったコミュニケーションを生み出すには工夫が必要だ。この布製コースターは、重要なヒントになるかもしれない。

愛知県豊川市に拠点を置く大手鋳造設備メーカー、新東工業。その株主総会で配られたのは、「集塵機フィルターの端材」で作られたコースターだった。アマガエルや国の天然記念物「ネコギギ」などが黒い線画で描かれている。

豊川の自然を象徴する5種類の生きものが描かれたアップサイクルの布製コースター
豊川の自然を象徴する5種類の生きものが描かれたアップサイクルの布製コースター 写真提供:近藤印刷

この企画の発起人は、近藤印刷(名古屋市)の代表取締役社長を務める近藤起久子氏だ。近藤印刷では「&ondo(アンドオンド)」という、廃材活用のブランドを立ち上げていた。

「単におしゃれな廃材グッズをつくるだけでなく、その地域に根付いている生きものをテーマにすることで、独自のメッセージを込めていきたいと思っています」

2024年2月、こうした想いを携えて、近藤氏は新東工業の永井淳社長に相談に行く。永井社長の快諾を得て、プロジェクトが始動した。

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ところが、環境問題に取り組んできたので廃材が「なかった」