現実は全く違う。やむを得ない刑罰などどこにも存在しない。複数の選択肢と判断があるから、複数の裁判官と裁判員の意見を聞いた上で判断する。

内閣府が昨年行った調査で、死刑は「やむを得ない」との回答が83.1%だったが、おそらく答える人は本当の意味を考えていない。

「やむを得ない」とする人は国が被告を殺すことを求めるのか、それとも最も重い刑罰を求めるのか。最も重い刑罰が無期懲役であれば、それでいいと思う国民は多いのではないか。ただ、日本の政府は議論すらしたがらないので、国民も「死刑とは何か」を考えない状況は変わらない。

政府が動かないなら、マスコミが議論を引き起こさないといけない。世界の潮流は「廃止」だが、今のままだと日本は独裁主義国の隣で唯一の死刑存置民主主義国になってしまう。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン

KARYN NISHIMURA

1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『フランス人記者、日本の学校に驚く』など。Twitter:@karyn_nishi
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