<9月27日、イスラエル軍はベイルート郊外に位置するヒズボラの本部を攻撃し、ナスララ殺害を狙った大規模空爆を実施した。住宅施設にも被害が及び、死者6人、負傷者数十人が報告されているが、ナスララがその場にいたかどうかは不明だ>
イスラエル軍は9月27日夜、レバノンの首都ベイルート郊外ダヒエ地区にあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの本部を空爆した。最高指導者ハッサン・ナスララを狙った攻撃だったもようだ。
この空爆で複数の住居用施設が破壊されたが、ナスララがその場にいたかどうか、現時点では不明だ。「(住民を)人間の盾として利用する目的で住宅施設の地下に造られたヒズボラ本部への精密爆撃」だったと、イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は語った。レバノン保健省によれば、少なくとも6人が死亡、数十人が負傷した。
CNNはイスラエル側の見方として、ナスララは「殺害された可能性が高い」と27日に伝えた。イスラエルは施設内にナスララがいたと「強く示唆」した上で、そこにいた者が「生き残る可能性は極めて小さい」とみている。
イスラエルのネタニヤフ首相は空爆の直前、ニューヨークの国連総会で強硬な演説を行い、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスやヒズボラとの戦闘を継続すると語っていた。両者とも親イランの武装勢力グループ「抵抗の枢軸」の一部だ。
「あまりにも長い間、世界はイランに宥和的だった。そのような宥和策は今すぐ終わらせなければならない」
今回の空爆は2006年のレバノン侵攻後で最大規模。イスラエルとヒズボラの対立は既に沸点に達していた。ハマスと連帯するヒズボラは、1年近く前からレバノン側からイスラエル北部にロケット弾を発射し続け、イスラエルがガザから手を引くまで攻撃を継続すると明言していた。
一方、イスラエルはレバノン全土とシリアの一部でヒズボラ関係者のポケベルやトランシーバーを爆発させる秘密作戦を仕掛けたとされている。この事件では数千の通信機器がほぼ同時に爆発し、数十人が死亡、数百人が負傷した。死傷者の中には民間人もいたと、レバノン保健省は言う。
これに対しナスララは、イスラエルは「レッドライン」を越えたと語り、越境攻撃を継続すると強調していた。ナスララは公の場にほとんど姿を見せないが、テレビ演説でカルト的な支持を集めていた。「抵抗の枢軸」の中でも最も有名でカリスマ的な指導者だ。
00年にイスラエルが10年以上にわたるレバノン南部占領を終結させると、武力による抵抗を続けたヒズボラの指導者ナスララは国内で英雄的な存在になった。組織としてのヒズボラも一時は国会で過半数の議席を獲得。強力な政治的存在感を放っていた。