ほかにも2つの点で、中国の製造業は日本に似てきている。

まず、労働力人口の急速な減少と高齢化だ。中国の製造業の労働力人口は出稼ぎ労働者が80%を占めるが、その平均年齢は08年の34歳から、23年には43歳まで上昇している。同時期、50歳以上の割合は11%から31%に拡大した。人手不足で閉鎖に追い込まれた工場もある。

第2に、サービス業が製造業を圧倒しそうだ。政府が国民の可処分所得を増やそうとするなか、中国製品よりもアメリカ製品への需要が高まるだろう。製造業からサービス業への転職者が増え、大卒の若者もサービス業に就職する割合が高まるだろう。

こうして起こる中国製造業の衰退は、日本ほどのハイペースでは進まないかもしれない。中国の国内市場は巨大だし、AI(人工知能)やロボット工学など生産性を高める技術に莫大な投資をしている。

それでも衰退そのものは避けられないし、逆戻りもあり得ないだろう。

©Project Syndicate

newsweekjp_20240902042227.jpg易富賢(イー・フーシェン)

YI FUXIAN

米ウィスコンシン大学マディソン校の人口動態学者。中国の一人っ子政策を批判する著書『空っぽの巣の大国』を2007年に発刊するが、中国では13年まで発禁となった。
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