そんな文化をこよなく愛する私は、スターバックスにもドトールにも行く。インスタントコーヒーも、コンビニコーヒーも飲む。ただ、一番好きなのは昔ながらの喫茶店だ。

産地や焙煎方法にこだわる「サードウェーブ」コーヒーの代表格、米ブルーボトルコーヒーの創業者も日本の喫茶店から大きな影響を受けたと聞く。まさに日本のコーヒー文化の粋と言える場所だろう。

毎日足を運ぶ近所の喫茶店では、行くたびに異なるブランドのコーヒーを淹れてくれる。落ち着いた雰囲気、ゆったりと流れる時間、店内に漂うコーヒーの香り。美しいカップに入って出てくるのもいい。

だがこうした昔ながらの喫茶店は時代の流れとともにどんどん姿を消している。寂しい限りだ。日本では文化としてのコーヒーが衰退しつつあるのかもしれない。

一方、中国ではいまコーヒー産業が急成長中。上海は世界一カフェの多い街とされ、私が育った時代とは隔世の感がある。カフェで売られる商品には、日本の抹茶ラテのような、龍井茶や桂花茶を使ったラテもある。

外国の文化を採り入れて独自のものを生み出すのは日本のお家芸だが、どうやら中国も負けてはいないようだ。そんな母国の変化をたくましく思うと同時に、複雑な気持ちもある。古き良きコーヒー文化が失われつつある日本とは対照的だから。

この芳醇な文化を残していくには、どうしたらいいだろう──カップを片手に頭を悩ませる。

皆さんもたまには、贅沢な一杯をいかがですか。

Zhou_Profile.jpg周 来友

ZHOU LAIYOU

1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。
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