<新NISAのスタートやインフレの進行、テクノロジーの進化......。投資を取り巻く環境が激変するなかで個人はどう行動すべきか>

このところ投資をめぐる環境が大きく変化している。日本でも本格的なインフレが始まり、資産を積極的に運用しなければ預金が目減りする時代に入った。さらに年金の減額が予想されていることから、以前にも増して将来不安が高まっている。

政府はこうした事態を受けてNISA(少額投資非課税制度)を大幅に拡充するなど、国民の資産形成を促す政策に乗り出していることに加え、テクノロジーの進化も変化を後押ししている。ネット証券は国民の資産形成になくてはならない存在となっているが、特定事業者による市場の寡占化が進みつつある。大手2社はとうとう売買手数料の無料化に踏み切っており、今後は手数料がかからないことが当たり前となる。

同時に、AI(人工知能)を活用した、お任せ投資のサービスも登場しており、個人が少額から投資できる環境が急速に整ってきたといえるだろう。一連の変化は、本格的な資産形成時代に入ったことを示唆する一方、従来とは異なり、自ら投資の方針を決め、自身の責任で投資を進めていかなければならないことを意味している。これからの時代は、個人が明確な投資戦略を持つことが極めて重要となってくるだろう。

日本では長くデフレが続いたことから、インフレに対する感覚が希薄になっている。インフレというのは、物価が継続的に上昇していく経済状況のことを指しており、言い換えれば現金の価値が目減りすることでもある。今100万円で買えるモノがあったとしても、インフレが激しくなると5年後には値段が150万円になっているということがあり得る。

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ILLUSTRATION BY TARTILA/SHUTTERSTCOK

これまでの時代であれば100万円の貯金をすれば、5年後にも100万円のモノを買うことができ、10年後にも同じモノを買うことができた。だがインフレの時代においては、5年後に物価が1.5倍になったとすると、100万円の貯金は、実質的には3分の2に価値が減ってしまうことになる。つまり、インフレが進んでいるときに現金をただ保有しておくのは、お金を無駄に捨てることに近い行為と言えなくもない。

昭和の時代も、成長に伴い相当なインフレが進んでいたが、物価上昇分以上に賃金が上がっていたため、預金の額が実質的に目減りすることをあまり気にする必要がなかった。だがこれからの時代は、かつてのように賃金が上昇する見込みが薄く、せっかくためた預金がインフレで目減りし、逆に資産を減らすという悪夢のような事態が現実に起こり得る。このような時代においては、ある程度、自身でリスクを取り、資産運用を実施しなければ老後に十分な資産を持つことが難しくなってくる。

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