空約束への懸念

各国はCOPの冒頭で、自主的な宣言やイニシアチブを発表するようになった。2週間の厳しい交渉に向け、前向きなトーンを打ち出すのが狙いだ。

ドバイでは、再生可能エネルギーと原発の発電能力を世界全体で3倍にするとの宣言から、石炭からの転換を加速させて農家の土壌改良を支援するという約束まで、拘束力のない合意が次々と発表されている。

複数の石油・ガス企業は、化石燃料の生産を削減する代わりに自社事業を脱炭素化すると約束し、こちらは物議を醸した。

グローバル戦略コミュニケーション評議会の調べでは、COP28の最初の5日間で数十の自主的なパートナーシップが発足または拡大し、少なくとも37の新たな資金拠出宣言が成された。

空約束に終わることを心配する声もある。

島国フィジーの気候関連特別顧問、ダニエル・ランド氏は「COPにおける新たな宣言や誓約の増殖については、常にそして、ますます慎重に見るようになっている」と言う。

「フィジーは過去に、長期的な取り組みとなるはずの呼びかけに参加したが、すぐに忘れ去られてしまった」からだ。

インドネシアのジョコ大統領は3日、COP28の傍らで開催された新興・途上国が参加する「G77・中国サミット」で、各国の誓約は一見素晴らしいが、気候変動と闘うために先進国が今すぐ成すべき事から注意を逸らしていると指摘。「COP28は野心を誇示する場ではなく、実施を加速させるためのイベントでなければならない」と述べた。

天然資源保護協議会の国際プログラム担当ディレクター、ジェイク・シュミット氏は「提出して忘れる」ことのまん延を防ぐため、宣言には説明責任が求められると言う。「宣言は目下の協議に弾みを付けるものではあるが、達成を義務付けるメカニズムが多くあるかと言うと疑問だ」とシュミット氏は語った。

石油メジャー

国連の文書によれば、石油企業はこれまで常にCOPに参加してきたが、大部分は舞台裏での活動だった。

しかし、今回は議長を努めるジャベル氏がUAE国営石油会社のトップであり、エクソンモービルのダレン・ウッズCEOなど、石油大手の重鎮がハイレベルなイベントの最前列に座っている。

エクソンを含む石油・ガス企業50社は、自社の事業におけるCO2排出量削減を誓約したことでも一時的に脚光を浴びた。

だが、グテレス国連事務総長は企業トップらに対し「これらの約束が、求められることに応えていないのは明らかだ」と切り捨てた。

OPEC加盟国のUAEは、気候変動との闘いは化石燃料を排除することを意味するものではないと唱えてきた。排出ガスを回収する技術が使えるから、というのがその理由だが、この主張は批判を浴びている。

ゴア元米副大統領は、COPのプロセス全体を見直す必要があるとの考え方だ。「産油国が会議を司るなら、人類の未来を救うための常識的な決断を下すのに、世界が主な排出国の許可を仰がなければならないというばかげた状況になってしまう」と指摘した。

[ロイター]
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