ISが世界で動き始めた

独立調査機関のアフガン・ピース・ウォッチによると、21年に米軍が撤退した際に放置された武器が、ガザ地区、インドのカシミール地方、パキスタンで見つかっている。

マイケル・マコール米下院外交委員長はCNNに、「タリバンがエルサレムを解放するために、彼らの言葉で言えばシオニストと戦うために、現地に行きたがっている兆候がある」と語った。モヘクは、既に100人以上のタリバンの狙撃兵がガザに派遣されているとみる。

ハマスの攻撃は、地域の戦争をエスカレートさせる可能性があるだけではない。それ以前に世界中のテロ集団が、ハマスが10月7日に行った大規模な殺戮に匹敵する攻撃を試みるかもしれないのだ。

「テロ組織は自分たちの力を見せつけなければならないという必要に駆られ、そのためにますます危険な存在になっていく」と、過激派対策プロジェクトのシニアディレクター、ハンスヤコブ・シンドラーは言う。

ヨーロッパでは、この1年に逮捕された多くのテロリストの共通項である「IS」に注目が集まっている。「ISは明らかに自分たちの関与を示そうとしている」とシンドラーは言う。ISはアルカイダから派生したスンニ派の武装組織で、14年にイラクとシリアにまたがる領域でカリフ制国家の樹立を宣言した。

治安筋によると、タリバンは競合相手であるIS傘下のグループ「ISホラサン州(IS-K)」の工作員をアフガニスタン国境近辺で追跡して殺害するために、米バイデン政権と協力している。

しかし、IS-Kは隣国パキスタンではかなり大きな影響力を持つ。7月30日には北西部のカイバル・パクトゥンクワ州で開かれた親タリバンの政治集会で爆弾テロが発生し、50人以上が死亡。IS-Kが犯行声明を出した。

ヨーロッパでISとIS-Kの工作員が動き始めたことに、安全保障当局と諜報機関は警鐘を鳴らすべきだと、シンドラーは指摘する。「今はハマス一色だが、ISにしてみれば面白くない。ニュースで取り上げられなければ、誰もカネを出してくれない」

From Foreign Policy Magazine

人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
PR
【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます