<「ドイツのための選択肢(AfD)だけではなく、中欧・東欧の極右勢力が中国やロシアになびく明確なパターンがある>

ドイツで急伸する極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に醜聞だ。今月、独メディア「ティー・オンライン」はAfD所属の欧州議会議員マクシミリアン・クラーと中国当局との癒着を報じた。

EU懐疑主義、反移民を掲げる同党は来年の欧州議会選で親中派として知られるクラーを筆頭候補に据えている。報道によると、クラーに「非常に近しい人々」が、中国から資金提供を受けていた。

また彼の側近はドイツ国内の中国反体制派グループと中国当局の双方とつながりがあり、前者の動きを後者に注進している疑いがあるという。クラーはこの報道を「事実無根だ」と否定しており、この一件が彼の強固な支持基盤に影響を与えることはなさそうだ。

ただ中国とつながるAfDの指導層はクラーだけではない。過去1年の間に、同党の政治家が数人、当局の招待で中国を訪れたことが分かっている。同党は中国・新疆ウイグル自治区での国家主導の残虐行為や、ウクライナ戦争での中国のロシア支援を受けて中国と距離を取るドイツ政府の姿勢に反対の立場だ。

専制国家への接近は、AfDだけでなくドイツの極左運動にも共通して見られる。しかし同党の親中化はそれよりも、中欧・東欧の極右全体に見られる明確なパターンをなぞっている。

欧州での「ばらまき」をいとわない中国

このパターンは欧州の各勢力に「ばらまき」をいとわない中国の姿勢と、中国の事実上の同盟国であるロシアと極右勢力が概して友好的であることの両方の帰結だ。アメリカやEUが中国と対決姿勢を強めているため、欧州諸国の反米・反EUの右派が中国に傾いていることも背景にある。

例えばハンガリーのオルバン首相や、セルビアのブチッチ大統領は親中傾向を隠さない。チェコではゼマン大統領(当時)が2015年、中国の政商、葉簡明(イエ・チエンミン)を経済顧問に任命したほどだった。

対照的に、西ヨーロッパの極右政党は中国に対して複雑な態度を取っている。フランスでは国民連合のマリーヌ・ルペン党首がインド太平洋における対中戦略を訴える。イタリアではメローニ首相が中国の「一帯一路」構想から離脱する方針を決めた。極右化が進むイギリスの保守党にも強力な反中派閥がある。

中国側からすると、中欧・東欧の極右勢力との協力はイデオロギーの親和性ではなく、便宜上の理由に基づいている。味方になりそうな各国の周縁的な勢力を見つけてはせっせと資金を注ぐことを繰り返しているだけだ。

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