<現状への不満や主流政党への不信感を持つ有権者の受け皿という立ち位置で、支持率2番手に躍り出た「ドイツのための選択肢(AfD)」>

ドイツ最大の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、国内にちらばる国家主義勢力をここ2年ほどで結集させた。内紛が絶えず、指導者が頻繁に代わるというイメージがあったが、今のAfDはビョルン・ヘッケという人物が統率している。政界の主流派からはいまだに異端視されているものの、AfDは政権を担う準備はできているというアピールに躍起だ。

ヘッケは東部のチューリンゲン州支部を率い、党内で最も過激な派閥「フリューゲル(翼)」の中心的存在として台頭した。この派閥はネオナチ的な言動を政府情報機関からマークされた末に解散したが、ヘッケはさらに先鋭化したAfDの事実上の指導者となった。

AfDの右傾化ぶりは、7月に北東部のマクデブルクで開かれた党大会を見れば明らかだ。このときヘッケはEUに対する党の姿勢を改めて打ち出し、「真のヨーロッパが生きるために、今のEUは死すべきだ」と宣言した。

この言葉は、1930年代のナチスを思わせる。当時のナチスも、古い体制を破壊することによって、よりよい新しい体制がもたらされると主張していた。AfDの他の政治家も、ヘッケの主張を支持しているようだ。

右傾化戦略は支持率アップに効果的

右傾化戦略が支持率アップに効果的であることを、AfDはわきまえている。2013年の創設以降しばらくの間、同党の支持率は9~14%だった。だがヨーロッパが難民危機に瀕していた15年頃に強硬な反移民の立場を明確にしたことで、支持率は一時20%近くに上昇した。

その後、1年もたたないうちに支持率は10%ほどに下落。しかし昨年2月からのウクライナ戦争で、安全保障だけではなくエネルギー供給に対する国民の不安が高まったことが、AfDに有利に働いたようだ。

ロシアのウクライナ侵攻前に11%だった支持率は、今年5月末には18%に上昇。8月になると22%に達し、キリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ2番手に躍り出た。

目下の焦点は、AfDが支持者をつなぎ留められるかどうかだ。今のところは、他党の弱みに付け込むというおなじみの戦略を取っている。ショルツ首相率いる社会民主党(SPD)と、自由民主党(FDP)、緑の党がそれぞれのイメージカラー(順に赤、黄、緑)をとって結成した「信号機連立政権」と、第1党のCDUが多くの弱みを露呈している今、この戦略は効果的だ。

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自らの主張はほとんど発信しないAfDの方針
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