自らの主張はほとんど発信しないAfDの方針

「より大胆に前へ」を旗印にするショルツ政権は21年12月の発足以来、多くの改革を掲げてきた。しかしコロナ禍とウクライナ戦争によって、政権は問題に立ち向かっては危機的状況に陥り、ドイツの連邦レベルの政治ではこれまでほとんど見られない未熟さを露呈している。

他党がそんな状況とはいえ、AfDは反対と批判に終始し、自らの主張めいたものはほとんど発信していない。現状に不満を抱き、主流政党に不信感を持つ有権者の受け皿といった立ち位置が続いている。だが政権と他の野党の失策で支持率が上昇するにつれ、AfDの指導層は以前にも増して権力を欲するようになった。

有権者の間には、まだAfDへの警戒心が残っている。しかし同党が連立政権の一翼を担うだけでなく、その指導的地位に立つ可能性さえ無視できなくなってきた。

AfDが20%を超える得票率を長く維持している東部では、そうした状況が今後2年のうちに起こるかもしれない。ドイツの主流政党が結集して態勢を整えなければ、フランスやイタリア、スウェーデンのように、極右が政権を狙う位置につけるのは時間の問題だ。

©Project Syndicate

230905P15NW_Helmut_130SQ.jpgヘルムート・アンハイアー

HELMUT K. ANHEIER

独ヘルティ行政大学院教授(社会学)、米UCLAラスキン公共政策大学院非常勤教授(社会福祉)。共著に『台頭する非営利セクター』(邦訳・ダイヤモンド社)がある。
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