使わないことがいちばんのリスク
ChatGPTは、突然話題になって一気に誰もが知るツールになりましたが、「活用イメージがわかないから使っていない」という人が多いように思います。なんとなく難しそう、不安、というイメージもあるようで、食わず嫌いの人も多い。
私も、「使わなくても大丈夫ですよね?」と聞かれることがありますが、その問いはまさに、2007年にiPhoneが発売された時に発せられた「iPhone/スマホを使わなくても大丈夫ですよね?」と同じです。
もちろん使わなくても恐ろしいことが起こるわけではありません。でも、これから何年か経って、2023年を振り返り、「あのときに触れておけばよかった」と後悔するようになるのではないかと思います。2007年の当時、10年後、15年後の社会がこれほどスマホ中心で回るようになるとは、誰も予想していなかったと思います。先に触れていたというだけで、とりかえしのつかないほどの差がつく可能性がある。既存企業の勢力図も構造もすべて変わるかもしれない。それほどAIの可能性は大きいと見ています。
今後、AIが具体的にどのように生活に入り込んでくるかはまだわかりません。でも、ドラえもんや鉄腕アトムが実現するためのスタート地点に立っているのは確かです。自動車に「車庫入れしといて」と話しかけたら、自動で車庫に入ってくれるような世界も遠くないでしょう。
今のChatGPTは、「すごく優秀だけど、うろ覚えで全部答えさせられている」といった状態です。でもこの天才に検索エンジンや高性能の計算機を渡せば、もっと優秀になり、情報の精度も上がるでしょう。いずれ画像や音声と統合されて、さらに便利になるはずです。
間違った使い方をすることよりも、使わないでいることが一番もったいない。今、触らないでいるのが一番のリスクなのは確かです。
(構成=池田純子)
深津貴之(ふかつ・たかゆき)
note CXO、THE GUILD CEO、インタラクション・デザイナー
1979年生まれ。武蔵工業大学(現・東京都市大学)卒業後、2年間のイギリス留学でプロダクトデザインを学んだあと、株式会社thaを経て、Flashコミュニティで活躍。独立以降は活動の中心をスマートフォンアプリのUI設計に移し、クリエイティブユニットTHE GUILDを設立。メディアプラットフォームnoteのCXOとしてnote.comのサービス設計を担当。著書に『先読み!IT×ビジネス講座 画像生成AI』(共著)、『Generative Design-Processingで切り拓く、デザインの新たな地平』(監修)、『UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン』(共著)など。
