スホーイ35に搭載されているイールビスEレーダーは、F16ほどの大きさの標的を、約200キロ離れた所から探知できるとされる。これに対してF16の改良型に搭載されたAN/APG-66(V)2Aレーダーが探知できるのは80キロ程度だ。

従って、F16の獲得はウクライナにとって大きな進歩だが、依然としてロシアの空軍力に真っ向から対抗できるわけではない。

オランダ航空協会が発行するスクランブル誌の編集者であるメナ・アデルは、F16と地対空ミサイルを組み合わせた戦い方を提案している。

「ウクライナ機は、(地対空ミサイルの)射程内にロシア機をおびき寄せて、できるだけ迎撃を遅らせることができる。また、西側の電波妨害装置はシステムを破壊したり、応援を遅らせて、ウクライナ機が逃げるのを助けられる。あるいはロシア機に近づき、至近距離から攻撃することで敵をつぶす確率を高められる」

F16は敵機攻撃のほかにも、空対地ステルス性ミサイル、AGM88HARM対レーダーミサイル、ハープーン対艦ミサイル、レーザー誘導精密滑空爆弾、AN/AAQ-33照準ポッド、電子対抗システムなど多様な兵器のプラットフォームになる。

F16の機動性と敵のシステム外から攻撃できる兵器を組み合わせれば、黒海のロシア艦艇やクリミア半島のロシア軍基地を脅かすことも可能だ。

小規模なF16戦隊ではロシアには勝てないが、敵の空中戦術を混乱させ、巡航ミサイルに対抗し、空、海、陸で戦争のコストを大きくできる。

何より、ソ連時代の戦闘機は改良できないのだから、ウクライナ軍に西側の装備の「種」をまく必要がある。この切り替えは、できるだけ早く始めるべきだ。

それをF16から始めるのは、良い選択だ。F16は運用コストが比較的低く、保守整備のリソースも世界中にある。しかもウクライナにF16を供給することで、西欧諸国はF16からF35ステルス戦闘機への切り替えを促進できる。

台湾がやっているように、旧型のF16でも高性能レーダーのセイバーを組み込む改良は可能だ。軽量戦闘機として重宝されてきたF16だが、それがウクライナに重量級の勝利をもたらす日は、さほど遠くないかもしれない。

【動画】「生ける伝説」──F16「ファイティング・ファルコン」
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