日本に限らず、アメリカでもフランスでも同じような傾向はある。ただ、日本の場合はより深刻だと思う。現在、ウクライナの戦場や危険な場所に記者を派遣することがほぼ不可能だからだ。

例えば日本政府は「どのような目的であれ、ウクライナへの渡航はやめてください」と言う。報道の自由の観点からも日本のメディアの独立性の観点からも、望ましくない状況だ。だが、マスコミは政府の立場に反論をしない。

どんな話題であっても現地の取材だけで良い報道ができるわけではなく、確かに解説や分析も必要だ。そこで重要なのは、コメンテーターを選ぶ基準だろう。必要な知識や能力、経験を本当に持っている人であるかが第一条件だ。

人気のタレントが出れば視聴率が上がるのは事実だが、その人の知識と能力を超えた問題についてコメントしようとすれば、無責任な発言につながる。

テレビ以外で、特に若者が見るインターネット番組も同じような傾向が強い。彼らが取材に基づいたものより、適当なコメントを「報道」だと思うようになるのではないかと心配だ。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン

KARYN NISHIMURA

1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
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