トルコ占領地でも存在を誇示

さらに、ジャウラーニーは、トルコ占領地でも存在を誇示しようとした。

ジャウラーニーは2月9日、記者会見を開き、トルコ側の道路などが被害を受けているため、同国からの救援物資の搬入はいまだないとしたうえで、越境支援が再開されるまでは「解放区」内の資源やマンパワーによって、被災者の支援、負傷者の治療などを行うと強調した。

そして、次のように述べ、シャーム解放機構が「解放区」だけでなく、トルコ占領下の「オリーブの枝」地域のなかでもっとも地震の被害が大きかったとされるジャンディールス町(アレッポ県)での救援活動に参加していると主張したのである。


民間部門、軍事部門の双方が救援活動にあたっており...、イドリブ県からジャンディールス町に過去12時間の間に車輌35輌以上を派遣した。

この発言は、当初は事実ではないと思われた。だが、その後まもなく、ジャウラーニーが幹部の1人マイサル・ブン・アリー・ジャッブーリー(ハラーリー)氏(通称アブー・マーリヤー・カフターニー)らを伴って、ジャンディールス町を訪れ、被災者の家族らとともに被害状況を視察する様子を捉えた映像がSNSを通じて拡散された。

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ジャンディールス町を視察するジャウラーニー(Telegram (@obaida1s)、2023年2月9日)

トルコの占領を維持したまま軍事・治安権限を掌握

ジャンディールス町の地元評議会のマフムード・ハッファール議長は、反体制系メディアのEnab Baladiの取材に対して、同町が行政上は、トルコを拠点とするシリア革命反体制勢力国民連立(シリア国民連合)傘下の暫定内閣に所属しているとしたうえで、ジャウラーニーの訪問は、メディアを通じて知っただけだと弁明した。だが、シャーム解放機構が2022年10月、シリア国民軍(TFSA:Turkish-backed Free Syrian Army)の内部対立に乗じて、「オリーブの枝」地域に進攻し、中心都市のアフリーン市やジャンディールス町などを制圧、トルコの占領支配を維持したまま、その軍事・治安権限を掌握していたことは、知る人ぞ知る事実である。

なお、ジャウラーニーの記者会見とジャンディールス町訪問に合わせて、シャーム解放機構から「解放区」の自治を委託されているシリア救国内閣のアフマド・アブドゥルマリク経済資源大臣補は、ジャンディールス町のパン製造所のほとんどが地震によって利用不能になったことに対処するため、アティマ村一帯などの通商公社や穀物製造所に対してパンの生産ラインを稼働させ続けるよう指示した。

「解放区」の正統な代表となるための宣伝