7. EV普及に新法が効果を発揮するのは先

「今年もEVは自動車市場で着々と支配を確立していくが、23年は大きな転換期にはならない」と、ブリンリーは予想する。

「22年夏に成立したインフレ抑制法には購入者の税額控除など、EVの販売拡大を支援する条項がいくつか含まれる。だが組み立てや一部の部品の製造を国内で行うといった条件があり、メーカーの対応に時間がかかる。法律の効果が顕著に表れるのは、20年代の後半だろう」

ジョー・バイデン大統領はインフラ整備にも意欲的だが、「充電設備の拡大に資金を投じるEVインフラ法も、効果を発揮するのに時間がかかる。充電ステーションは一朝一夕に増設できるものではない」と、ブリンリーは指摘する。

8. 子育て世代に人気の3列シートEVが充実

「ミレニアル世代は上の世代よりもEVの購入に意欲的であることが、私たちの調査から浮かび上がってきた」と、キムは言う。

「いまミレニアル世代は子育ての真っ最中。3列シートSUVの売り上げは主に彼らが支えているが、市場にはその需要に応えるだけの3列シート電動SUVがない。

そんな状況が今年は変わる。現代自動車はアイオニック7、起亜はEV9、ビンファストはVF9を発売し、来年は3列シートEVがさらに増える見込み。ミレニアル世代は現在アメリカ最大の人口を誇る。その需要を満たすという意味で、3列シートEVの重要性は侮れない」

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EV9は起亜自動車初の電動SUV KIA
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ベトナムのビンファストが発売したVF9 SEBASTIEN MAUROY

9. ダッシュボードにグーグル搭載

「アップルのカープレイやアンドロイド・オートは誰でも知っているだろう。だが今年はグーグルを搭載した新車が急増する」と、オートリストのアンダーコフラーは語る。

「ホンダ、フォード、シボレー、GMC、それにボルボが、グーグル・マップとグーグル・アシスタントとグーグル・プレイをまとめたパッケージをダッシュボードのインフォテインメント・システムに採用。通常のグーグル・アカウントでログインすれば、スマホを介さなくとも全履歴が車内のシステムに反映される仕組みだ」

10. 価格は下がらない

最後に。S&Pのブリンリーによれば「1年を通じてEV普及のインセンティブは多少増えるかもしれないが、自動車の価格が全体的に下がる見込みは薄い」とのことだ。

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