mRNAワクチンの導入はゼロコロナからの脱却に役立つはずだが、共産党指導部にとってそれは国のプライドを傷つけ、過去の過ちを認めることを意味するようだ。

中国の指導部は、治安部隊を使って新たなデモを鎮圧すれば共産党が再び支配を確立し、国民の不満を抑え込めると見込んでいるのだろう。

しかし包括的で組織的な出口戦略がなければ(そして、その結果にしっかり責任を取らなければ)、中国は国民感情の面でも公衆衛生の面でも、最悪の事態に直面することになりかねない。

ゼロコロナ政策に対する習の考えや、政府の経済活動再開計画に疑問が残るなかでは、地方レベルでの対応に大きな混乱が生じることになるだろう。

規制緩和に関する決定が二転三転し続ければ、国の対応力も資源も逼迫し、国民の不満はますます高まる。同時に、公衆衛生上の効果的な措置(例えば欧米のワクチンを使った迅速な集団接種計画)が伴わない規制緩和は感染を再拡大させ、中国の医療システムの崩壊を招くだろう。

そうならないためには、習の迅速な決断と行動が求められる。なかでも、mRNAワクチンの承認と輸入は急務だ。

そのような決定は政治的な勇気だけでなく、政治的な力量を示すものになる。デモによって損なわれた習のイメージを回復する上で、大いに役立つはずだ。

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ミンシン・ペイ

MINXIN PEI

上海生まれ。上海外国語大学を卒業後、米ハーバード大学で博士号取得。クレアモント・マッケンナ大学教授。専門は中国政治など。中国の政治体制に対する「懐疑派」の代表格として知られる。