終わった後、住職が時間をつくってくれたので、自分が何度も足を組み直したことに対しおわびをした。「大丈夫だよ」。最初は顔が明るかったが、その後眉間にしわを寄せ、じっと座れない外国人を座禅会に受け入れるのは難しい、とこぼした。「なんでもっと我慢できないんだろう」

「悪いことしたな」。ますます自責の念に駆られたが、考えてみれば、体が硬いのはなにも外国人ばかりではない。あぐらをかくのが苦手な日本人だってたまにはいる。例えば、年配の人。そういえば、座禅会は20~40代がほとんどで、お年寄りの姿はあまり見なかった。足や腰のしびれを恐れ、我慢して座禅会に来ない人もいるのかな。

翌日、気になって海外で発行されている座禅のマニュアルを見てみた。外国人に体の硬い人が多いせいか、流派によっては、椅子に腰を掛けることまで許されていることが分かった。なるほど、これなら体の硬い人、体の不自由な人も助かる。

座禅の姿勢について仏教の開祖・お釈迦様がどう考えていたかは定かでない。でも以下の言葉を残している。「世代から世代へと伝え承(う)けたからといって頼ってはいけない/古くからの言い伝え、伝説、風説などに頼ってはいけない/自分たちの聖典や教典に書いてあるからといって頼ってはいけない」(仏典、増支部)。たぶん、良い目的を持って修行しているなら、その姿勢がほかの人と若干異なっても良しとしてもらえる気がする。

NW_Tony_Laszlo.jpgトニー・ラズロ

TONY LÁSZLÓ

1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。
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