サチャインチを広める願ってもないチャンスだと、按田さんは商品化への企画に乗り出します。ペルーでの体験を象徴する、サチャインチの搾りかす(インカインチプロテインパウダー)を入れることを提案。搾りかすと組み合わせる食材も探しました。

「ペルーの森の中は薬箱のようでした。たくさんの魅力的な植物と出会ったので、この商品にもそれを使ってみたいと思い、まずキャッツクローを採用しました。そして、サッポロビールの醸造家の方から提案されたのがアマランサス。実際にペルーでも食していたので、私の個人的ストーリーにも重なりました」

そうして出来上がった「HOPPIN' GARAGE インカの扉」は、「ハーブティーのようなスッキリとした味わい」。「ハーブティーのように、ティーカップや素焼きの茶碗など、器を変えて飲んでみることをおすすめします」と按田さん。

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出来上がった発泡酒を試飲する按田さん

一方、NPOアルコイリスの大橋さんは、「発泡酒にサチャインチの搾りかすを使ったと聞いて、とても驚きました」と、按田さんの発想力に舌を巻きます。自身の事業については、「引き続き、搾りかすの粉砕工程を進化させ、より微粉末にすることで、利用用途をさらに広げていきたいです」と話します。

JICAの草の根技術協力事業でまいた種が、意外なところで実を結ぶこととなりました。今後また、同事業の取り組みが新たな実として現れるのも、そう遠い未来ではないはずです。

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大橋則久(おおはし・のりひさ):NPOアルコイリス代表理事。2006年、「その土地の気候風土に寄り添った、消費者と生産者双方のQOLの改善に役立つ商品作りと、生産地の持続可能な開発」などをミッションにNPOアルコイリス設立。サチャインチの生産・加工に携わる。生産地との連携強化のため2011年にアルコイリスカンパニー設立。ペルーの薬用・有用植物の生産・商品開発、地域開発などを行っている。
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按田優子(あんだ・ゆうこ):料理家、保存食研究家、「按田餃子」店主。菓子・パンの製造、乾物料理店でのメニュー開発などを経て独立。2012年から写真家の鈴木陽介さんとともに「按田餃子」を営む。
※当記事は「JICAトピックス」からの転載記事です。
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