よみがえってきた女王との数々の思い出

女王の具合がよくないと聞いたとき、私は女王がどうしてバルモラル城にいるのだろうといぶかしんだ。9月8日朝、バッキンガム宮殿の衛兵交代式が急きょ中止になり、胸騒ぎを覚えた。

女王陛下の訃報に接したのは、米テキサス州ダラスにある自分の店の厨房だった。途端に女王との思い出がよみがえってきた。初めて会った日の女王の笑い声と、私を追いかけてきた犬たち。毎年クリスマスに女王からプレゼントを渡され、「メリークリスマス、よい新年を」と声を掛けられたこと。

私は11年間、女王のために朝昼晩の食事とアフタヌーンティーを用意したが、女王のシェフを辞めてダイアナのシェフになる際、女王からの言葉を期待したりはしなかった。シェフは入れ替わる。私は一介の使用人として自分の務めを全うし、エリザベス女王は70年に及ぶ彼女の務めを全うしたのだ。

ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます