加えてコロナ禍で気になるのは、為政者たちの言葉の弱さだ。日本ではあれこれとしゃべらない「不言実行」が好ましいとされることは知っている。

しかし、この混乱の中でリーダーの言葉が頼りない、信用できない、理解しにくい、具体性に欠けるのは困りものだ。感染症への対応が遅れたのはおくとしても、リーダーの言葉は今年になってもずっと曖昧だ。「~したいと思います」「~しましょう」「~お願いしたい」──どれもとても弱い言葉だ。嫌われないように、反発を受けないように、慎重に言葉を選んでいるのだろう。

しかし、リーダーの責務は嫌われないことではない。人々をリードし、問題を共有すること。ゴールを示し、タスクを振り分け、実行すること、時に勇気づけることだ。そのための強い意思と決意は、それらの弱い言葉には感じられない。なんだか嵐が過ぎ去るのを待っている人の言葉のようにしか聞こえない。

リーダーや有名人が批判を恐れておざなりな言葉遣いをすれば、人々の言葉も軽いものになる。心のこもっていない、真実を語らない、信じるには足りない言葉。私の大好きな日本語がそんなつまらない言葉になってほしくない。

toykyoeye_ishino_profile_w100.jpg石野シャハラン

SHAHRAN ISHINO

1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」

Twitter:@IshinoShahran
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