鳩山内閣は「ハネムーンの100日」も終わらないのに、迷走を重ねて政権末期の様相を呈してきた。8日、閣議決定された緊急経済対策は7.2兆円と、せっかく削った麻生政権の補正予算2.7兆円と行政刷新会議の事業仕分けで浮いた1.6兆円を帳消しにしてしまった。自民党の大島幹事長が「また補正をやるなら、何のためにわれわれの補正を削ったのか」と批判したのは当然だ。出てきた予算の中身は、4月に出された麻生内閣の補正予算とほとんど変わらないからだ。自民党の補正予算はこういうものだった:

■生活者支援:雇用調整助成金、子育て支援など

■金融対策:中小企業等資金繰り、住宅・土地金融など

■環境対策:エコポイント、省エネ住宅など

■地方の活性化:地方交付税の増額など

これに対して民主党の今回の補正予算は次のとおり:

■雇用:雇用調整助成金、新卒対策など

■景気:中小企業向け金融対策、住宅金融の拡大など

■環境:エコポイント、環境エネルギー推進など

■地方支援:公共事業、地方交付税の補填など

 ちょっと言葉の使い方は違うが、中身はほとんど同じものだということがわかるだろう。同じ官僚機構が編成するのだから、当たり前だ。わずか2週間でドタバタと7兆円以上の予算を組むのでは、新しい事業を考えている時間はない。雇用調整助成金やエコポイントはそっくり同じで、公共事業まで入っている。特に半分近い3兆円が地方交付税の増額だが、これは自民党の補正を減額した分を元に戻しただけだ。

 そもそも補正予算を景気対策に使うという発想は、世界の他の国にはない。日本でも、本来は突発的な災害など、文字どおり本来の予算を補正するものだった。それが小渕内閣のとき「緊急経済対策」として総額10兆円以上の補正を組んだときタガがはずれて、現在のような巨額の財政赤字が積み上がってしまったのだ。麻生内閣が昨年度に実施した2度の補正とあわせると、この1年余りで4回も補正予算を組み、その総額は20兆円を超える。

 亀井金融・郵政担当相が「自民党が昨年度(本予算・補正あわせて)102兆円の予算を使ったのだから、今年度それ以下の予算になるとマイナスの景気対策になる」というのは、補正予算の論理でいえば正しい。今年度102兆円使ったら、景気が上向かないかぎり来年度も100兆円以上の予算を組まなければならない。このように補正予算は麻薬のようなもので、景気が低迷しているかぎり打ち続けなければならない。そうやって問題を先送りした結果、破滅的な事態をまねいた90年代の教訓を民主党は受け継いでいないのだろう。