<パキスタン首都で起きたシーア派モスクへの自爆テロ。各武装勢力の現在の戦略を照らせば、犯行はイスラム国(IS)である必然性が浮かび上がる>

イスラマバードのシーア派モスクで起きた自爆テロは、30人以上の犠牲者を出す惨事となった。標的がシーア派である事実は、イスラム国特有の過激な宗派主義を物語る。

2月6日、パキスタンの首都イスラマバードの静寂は、無慈悲な爆発音によって切り裂かれた。金曜礼拝に集まった多くの市民で賑わうターライ・カラン地区のシーア派モスク「カディジャ・アル・クブラ・モスク」が、卑劣な自爆テロの標的となったのである。

実行犯は警備の隙を突いて内部へ侵入し、信徒たちが祈りを捧げる神聖な空間で自爆装置を作動させた。この惨事により、子どもを含む30人以上の命が奪われ、170人あまりの人々が重軽傷を負うという、近年の首都におけるテロ事件としては最悪の被害となった。

事件直後、犯行の主体を巡り、パキスタン政府と長年対立する「パキスタン・タリバン運動(TTP)」なのか、バルチスタン州の独立を掲げる「バルチスタン解放軍(BLA)」なのか、あるいは、隣国アフガニスタンを拠点に勢力を拡大させる「イスラム国(IS)」系組織なのかといった憶測が流れた。

その後、結果的にはイスラム国の地域組織である「イスラム国パキスタン州」がテレグラムを通じて正式な犯行声明を出した。

シーア派を「異端」と見なすイスラム国の冷徹な論理

だが、実際のところ、この凄惨なテロが発生した直後から極めて高い確率でイスラム国関連組織の関与があったことは想像に難くない。その最大の根拠は、テロの標的が「シーア派」であったという点に集約される。

イスラム国にとって、シーア派を狙うことは単なる政治的戦術ではなく、彼らが奉じる過激な宗派主義の根幹に関わる至上命令である。彼らはシーア派を「ラフィダ(拒絶者)」と呼び、イスラムの純粋性を汚す異端として激しい敵意を向けてきた。

変質するTTPと世俗的なBLA 消去法で見える犯行組織