脅威であり続けるテロ組織のブランド、イデオロギー
ボンダイビーチにおけるテロ事件は、こうした25年にわたる脅威の蓄積が、再び最悪の形へ先鋭化したものである。
今回の事件の最大の特徴は、ISがかつてのような「領域を支配する国家」としての力を失った後も、その「ブランド」や「反ユダヤ・反西欧イデオロギー」が、個人の憎悪や孤独を吸収するブラックホールとして機能し続けている点にある。
犯人が親子であったという事実は、過激化がもはやインターネット上のコミュニティだけでなく、家庭という密室の中で、当局の監視の目をかいくぐりながら進行し得ることを示唆している。今日のオーストラリア、そして国際社会が直面しているのは、組織による具体的な暴力以上に、そのブランドやイデオロギーが依然としてサイバー空間、人々の脳裏に深く残っているという現実である。
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