ウェラーシュタインによると、シミュレーションの中でも、放射性降下物の挙動を正確にモデリングすることが「非常に難しかった」と言う。核爆弾が爆発した地点、あるいは上空で爆発した場合はその直下の地域の地形、気象条件など、シミュレーション結果に影響を与える不確定要素があまりに多いからだ。

このシミュレーションモデルを用いると、例えば、悪名高いロシアの水素爆弾「ツァーリ・ボンバ(爆弾の皇帝)」のように強大な威力を持つ核爆弾がアメリカの主要都市に投下された場合、何が起きるかを推測できる。

1950年代半ば〜1960年代初頭にかけて、当時の旧ソ連によって開発されたツァーリ・ボンバは、これまで製造・実験されたものの中で最も強力な核兵器であり、その核威力はTNT換算でおよそ50メガトンに相当する。第二次大戦中にアメリカが広島に投下した原子爆弾「リトルボーイ」の核威力はTNT換算で15キロトン前後とされており、ツァーリ・ボンバの3300分の1だ。

仮にツァーリ・ボンバがニューヨークとロサンゼルスの上空1万3300フィート(約4000メートル)の空中で爆発した場合の被害はどうなるか。シミュレーターによると、結果はおおよそ次の通りだ。


・ニューヨーク州ニューヨーク市:死者760万人、負傷者420万人
・カリフォルニア州ロサンゼルス市:死者390万人、負傷者370万人

もちろんこれはあくまで推計であり、現実の世界で生じうる要素のすべてを考慮したものではない。

(翻訳:ガリレオ)

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます