ドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレによれば、上海の宅配サービスで働く配達員は約1万1000人。上海市民2600万人のニーズを満たすには不十分だ。美団の毛方(マオ・ファン)副総裁は選別・配送能力が不十分であることを認め、他の都市から応援要員のスタッフを上海に派遣すると語っている。

中国政府の最も「草の根」レベルで働くコミュニティー・ワーカーも疲労困憊している。中国の都市生活は集合住宅ごとに分かれていて、壁に囲まれた敷地内は出入りがコントロールしやすいため、ロックダウンの重要なツールになる。

上海の場合、多くの集合住宅は複数の棟があり、それぞれ大勢が入居している。棟ごとに「居民委員会」と呼ばれる政府の末端組織があって、住民に対するサービスと監視を行っている。

別の中国SNS、微信(ウェイシン)への4月7日の投稿によれば、集合住宅によってはボランティアが居民委員会の仕事を肩代わりしており、多くの場合、そのほうがより食料を確保できているという。

中央政府への信頼が消えうせる

運よく政府からの食料が届いても期限切れだったというケースも多い。一部のコミュニティー・ワーカーは期限切れの食品を口にしないよう住民に注意を促している。上海当局も4月21日の記者会見で、期限切れ問題があるのは事実だと認めた。

過去2年間、中国政府はパンデミック対策の成功を喧伝し、世間の信頼を勝ち取ってきた。だが今では、上海だけでなく中国各地でその信頼が消えうせようとしている。

中国最大級のQ&Aサイト「知乎(ジーフー)」では、「作家の方方(ファンファン)をどう評価する?」という質問に多くのコメントが寄せられた。著名な反体制派の作家で、ロックダウンされた武漢での暮らしを赤裸々につづったSNSの「武漢日記」が議論を呼び、オンラインのナショナリストから集中砲火を浴びた女性だ。ロックダウンされた上海での暮らしをつづる「上海の方方」はいないという声も上がる。

SNS上ではこうした不満の表明とその抑圧のいたちごっこが相変わらず続いている。微博では「アメリカの人権侵害問題は世界最大」といった政府肝煎りの反米ハッシュタグに対して中国共産党アンチからの投稿が殺到した。しかし、そうした批判が即削除されたのは言うまでもない。

From Foreign Policy Magazine

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