その内容は、複数のPCからターゲットのサーバーに対して多数のアクセスを送るという、シンプルなものだ。それゆえ、ITにさほど精通していなくともハッキング攻撃に加われる利点がある。フョードロフ副首相はグループ参加を呼びかける際、「誰もに任務がある」とメッセージに綴っていたが、その触れ込みは決して誇張ではなかったことになる。

一方、ロシアへのサイバー攻撃に加わることで、参加者は居住各国の法に抵触する可能性がある。ガーディアン紙はメッセージのなかで、ボランティアでサイバー攻撃に加わることの危険性を強調している。

欧米の当局関係者は同紙を通じ、ウクライナIT軍のメッセージ・グループへの参加を「強く非推奨とする」と述べ、「いかなる形であれ、我々が犯罪を奨励することはあり得ない」と警告した。しかし、グループに集う有志の多くは、それを認識しながらもなおウクライナの力になりたいと望んでいる。

デジタル版の批判ビラも

ネット上では、同グループ以外にも独自にウクライナへの助太刀を図る人々が出てきた。ノルウェーに住む50歳のIT技術者は、ロシアの人々にメールを一斉送信するサイトを立ち上げた。国営メディア以外の報道が遮断された現地に向け、侵攻の真実をありのままに伝えるのがねらいだ。

サイトを訪れたボランティアたちは最小1名からのロシア人に向け、自分が所有する正規のメールアドレスを発信元として明記したうえで、ロシア語の定型文または独自に綴ったメッセージを送信することができる。

英BBCによると、実際にロシアの人々から返信が届くことがあるという。間違っているのはウクライナ側だという主張もあれば、ロシアでは報道が少ないので事実を教えてほしいとの返信から、ボランティアとの間で文通が始まるケースもあるようだ。

第二次大戦ではヒトラー率いるドイツの上空に、体制批判のビラをまく航空機が飛び交った。このメッセージ送信サイトの開設者は、「より現代的なやり方で人々に目を覚ましてもらうための試み」だと説明している。

サイバー攻撃からメッセージを通じた呼びかけまで、さまざまな運動がネット上で盛り上がりをみせ、ウクライナの現状を変えようと試みている。

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