だが中国政府には、西側の政治経済モデルに合流するつもりなど全くなかった。習近平は(外国と謙虚に接するという)鄧小平のもう一つの信条にも背き、中国は中国独自の道を歩んでいくという考えをはっきりと示した。西側もようやくこの現実に気づき、態度を硬化させた。それによって中国の成長見通しは当然、打撃を受けている。

2022年北京冬季五輪のスローガンは「未来に向かって一緒に」だ。しかしアメリカによる外交的ボイコットは、世界の2大超大国のイデオロギーの対立を強調している。中国共産主義の優位性を誇示するために、中国は今回の冬季五輪でも、習の3期目続投が決まる見通しの秋の共産党大会についても、完璧な舵取りを行っていくだろう。

創立100年を迎えた中国共産党は、普通の人々にもよりよい暮らしを約束することで、今も国民の強い支持を得ているように見える。だが経済目標というよりプロパガンダというべき共同富裕というスローガンの下、ひたすら社会主義の道を歩み続け、最終的には共産主義へと移行していくとすれば、中国は、過去40年間のより実利的で実験的で開かれた開発政策によって稼いだ莫大な経済的利益を、ドブに捨てることになるかもしれない。景気が後退するというより、経済そのものが停滞する。それが共産党の存続を脅かすことになる可能性が大きい。もっとも彼らは過去にもドン底から立ち直ってきたのだが。

From Foreign Policy Magazine

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