北京冬季五輪がまもなく開幕する。外交ボイコットや徹底した新型コロナウイルス感染対策などが暗い影を落とした準備期間は終わり、スポーツが舞台の中央に立つ。

北京は史上初の夏冬両大会開催都市となる。開会式の会場となる国家体育場(通称「鳥の巣」)など一部の施設は2008年夏季大会の再利用で、開会式の総監督を務めるのも08年大会と同じ著名監督の張芸謀(チャン・イーモウ)氏だ。

しかし、それ以外はほとんど様変わりした。

08年夏季大会では、日の出の勢いの中国が世界の表舞台に登場し、見る者を圧倒した。しかし今や中国は以前よりも裕福かつ強力になり、習近平国家主席の下で権威主義の様相を強め、欧米諸国と対立を深めている。

コロナ禍の時代にあって中国は「ゼロコロナ」戦略という独自路線を採り、ほぼすべての国際便の運航を停止した。このため選手らは、選手や関係者を外部と接触させない「バブル」の中にチャーター便で直接入る必要がある。

08年夏季大会と同様に、五輪によって中国の人権問題が再び注目を浴びた。中国の人権弾圧は08年大会以降悪化し、米政府は中国がイスラム系少数民族ウイグル族にジェノサイド(集団虐殺)を行っていると批判し、米国その他の国々が外交ボイコットに踏み切った。

中国は疑惑を否定し、大会の政治化だと繰り返し反発している。

オックスフォード大学のラナ・ミッター教授(中国史・政治学)は「08年夏季五輪は、世界的な影響力の獲得を目指す中国にとってソフトパワーの強力な源泉だった。この1年で西側世界における中国の評価は大幅に悪化した」と指摘した。

「中国共産党は22年冬季五輪によって、こうした状況を覆すことが何かできるのではないかと期待するだろう」

しかし今大会は地政学的な緊張が高まる真っただ中で始まる。ウクライナ国境沿いで軍隊を増強しているロシアのプーチン大統領とグテレス国連事務総長が大会期間中に北京を訪れる予定だ。

時代の変化

北京市内は08年大会ではカーニバルのような賑わいを見せたが、今回は新型コロナ感染拡大阻止のための制限措置に対する諦めムードが漂っている。

チケットが一般発売されないことに対する失望もある。

今大会は昨夏の東京大会よりもはるかに厳しい「閉じた輪」の中で実施され、新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株への対応が試される。

安全な選択肢は......