<日常的な黒人差別があからさまだったフロリダ州で、私は黒人を憎悪する白人の男性と友達になった>

あれは2008年、まだ私がフロリダ州ゲインズビルにいて、ピザ店で働いていた頃のことだ。暑いのに革ジャンで決めた男4人が店に入ってきた。上着を脱ぐと、全員の肩にシャムロックの入れ墨があった(当時の私は知らなかったが、それは白人至上主義の暴力集団「アーリアン・ブラザーフッド」の印だった)。

私が注文を取ろうとすると、男たちは「黒人じゃ駄目だ」と言った。しかし店長の女性が「この人で駄目なら、何も食わせてやらないよ」と言い返すと、しぶしぶ私に注文をした。よほど腹が減っていたのだろう。

食事が済むと3人はさっさと出て行ったが、1人だけ店に残った。そして私にミルクシェイクを注文し、そこに座れよと言った。

自分は悪名高い人種差別組織の一員で、黒人は嫌いなんだが、と彼は言った。でもアメリカンフットボールを愛していた。私もフットボールが好きだった。2人ともビール好きで、美術も好き。

だから話が弾んだ。この男は私とよく似ていた。唯一の違いは、彼が黒人を嫌っていることだった。

彼の名はダニエル。私たちはフットボールとビールと美術への愛で結ばれていた。だから友情が生まれた。

彼の黒人嫌いは変わらなかった

なぜ君は黒人を嫌うのかと聞くと、「そういうふうに育てられたから」とダニエルは言った。「黒人のしぐさは嫌いだ。見た目も嫌いだ。呼吸をするのも許せない」

私は傷つき、存在を否定されたような気がした。「じゃあ、なぜ僕と話すの?」

「君はほかの黒人と違う」とダニエルは言った。「君はいい黒人だから」

当時の私はフロリダで、白人からゴミ扱いされていた。だから相手が白人至上主義者でも、友達になれたのはすごくうれしかった。

その後数カ月、ダニエルとの友情は続いた。でも彼の黒人嫌いは変わらなかった。嫌う理由はいっぱいあった。

「このクロンボを見ろ」。彼は地元の新聞の記事を指さして言った。強盗で2人を殺した黒人男性の記事だった。私は彼の言葉にたじろいだが、笑ってごまかした。彼は私をその単語で呼んだわけじゃないと、自分に言い聞かせて。

姿を消したダニエルと、私のその後
【関連記事】