原告らは、今も北朝鮮に残る家族を心配する。川崎は、新型コロナウイルスが流行し始めた2019年11月以降、家族と連絡が取れなくなっていると訴えた。送金することもできず、送った小包も全て戻ってきてしまった。「家族が生きているかどうかさえ分からない」と語った。

判決は2022年3月に言い渡される予定だ。

国際的な人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は声明の中で、原告らの証言は「帰国事業のプロパガンダを信じた被害者たちにとって、北朝鮮は楽園ではなく地獄だったことをはっきりと示した」と述べた。彼女は、残る被害者たちを今すぐ日本に帰国させるよう岸田文雄首相は金正恩に要求すべきだとも主張した。

帰国事業は、当時在日朝鮮人をよそ者と見なしていた日本政府にとっても好都合で、日本政府は参加者たちが北朝鮮に渡るための手続きを支援して、同事業を後押しした。帰国事業により、日本人配偶者らを含む約9万3000人が北朝鮮に渡ったとされている。

日本には現在、約50万人の朝鮮人が暮らしており、彼らは学校や職場、日常生活の中で今もさまざまな差別に直面している。

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