<日本近海で民主主義陣営が合同演習を繰り広げるなか、中国軍機が大挙して台湾の防空識別圏に進入>

台湾はここ数十年で「最も厳しい」状況に直面している──過去最多に上った中国軍機の接近を受け、台湾の国防トップがそう警告を発した。

今月に入り中国軍機は4日連続で台湾沖の上空を飛行。10月4日には過去最高の56機が飛来し、台湾に揺さぶりをかけた。飛行したのは国際空域だが、台湾国防軍は挑発行動のエスカレートを警戒している。

台湾の邱国正国防部長(国防相に相当)は議会で10月6日、中台間の緊張の高まりは「私が軍隊に入ってからこの40年間で最も厳しい」レベルに達していると発言した。

台湾近海で同盟国と共に合同演習を行ったばかりのアメリカも、中国の行動は地域の「不安定化」を招く、「リスクを伴う」動きだと強い懸念を表明した。

以下はAP通信が伝えた詳細。

攻撃のための編成

すぐにも軍事衝突が起きるようなことはないとの見方が有力だが、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、中国が「必要とあらば武力で台湾を併合する」との脅迫を実行に移せば、大損害を被るのは台湾だけではないと国際社会に訴えた。

「台湾が陥落するようなことがあれば、地域の平和と民主主義的な同盟は壊滅的な打撃を受けるだろう」と、蔡は10月5日発行の米誌フォーリン・アフェアーズに寄稿した論説で力説した。「(台湾陥落は)価値観をめぐる今日のグローバルな競争において、権威主義が民主主義より優位に立ったことを世界に知らしめるシグナルとなる」

中国はこれまでも繰り返し台湾の「防空識別圏」(ADIZ)に軍用機を飛ばしてきたが、これほど大挙して進入したことはない。

軍用機の数以上に重要と見られるのは、戦闘機、爆撃機、早期警戒機から成るその編成だと、国際戦略研究所シンガポール支部の軍事アナリスト、ユーアン・グレアムは指摘する。

「(重要なのは)技術的な洗練度だ。これは攻撃編隊と見ていい。圧力を一段と強化する動きの一環だろう。これまでのように2機の戦闘機が接近し、(中台の事実上の停戦ラインである)中間線をかすめて飛び去るのとは訳が違う。はるかに明白に(攻撃の)意図を見せつけるオペレーションだ」

空中給油もできなかったのに
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