アフガニスタン国内にいるIS勢力とタリバンが敵対しているのは周知の事実だし、タリバンは表向き、国内にいる武装勢力による外国への攻撃は許さないという立場だ。この国際公約を守らせるためにも、アメリカはタリバンとの対話を必要としている。

だが8月26日に空港テロを起こしたIS-Kなどは、もっぱら越境テロを目指している。

アメリカ本土を攻撃する前に

しかし「いくら困難でも不可能を可能にするのが情報機関の仕事だ」と言うのは、長らく現地の米大使館を仕切ってきたアール・A・ウェインだ。

「たとえ相手が昔の敵であっても、必要ならば手を組む」

ウェインによると、過去にもそんな実例がある。

昨年、東部クナル州で米軍はタリバンと連携してIS系の拠点をたたいた。「米軍が空から攻撃し、その後にタリバンが乗り込んだ。これで対話の基盤ができたと、当時も期待されていた」

今はその対話の時期なのかもしれない。だが、タリバンと組むだけでは足りない。

アフガニスタンは内陸国だから、アメリカが欲しい情報を手に入れるためには、パキスタンを含む周辺諸国の情報機関からも協力を得る必要がある。

どこかに地上基地を置く必要もある。基地があれば最新鋭の無人機や巡航ミサイルなどで迅速に攻撃できる。

二度とアフガニスタンを対外テロ攻撃の拠点にさせないというタリバンの公約を守らせる上でも、そうした基地の存在は重要だ。

タリバンの真意は、まだ分からない。

現場の戦闘員の一部は、今も国際テロ組織アルカイダとつながっている。しかし首都を制圧した今、タリバン指導部が「政府」として国際社会の承認を得たいと思っているのも間違いない。

共通の脅威に対処するためなら、アメリカの情報機関は敵性国家とも手を組む。

あの9.11テロ後には、アルカイダ征伐のためにシリアの情報機関とも協力した。ISをイラク国内から追い出すためにはイランとも手を組んだ。

ただしアメリカの情報機関には伝統的に、テロよりも仮想敵国(昔はソ連、今は中国)の脅威を重視する傾向がある。そうなるとアフガニスタンは忘れられる。

撤退後も「アメリカが現地における将来的なテロの脅威を察知する能力を維持することは可能だが、簡単ではない。しかるべき資源と、ぶれない方針が必要だ」と言うのは元CIA副長官のマイケル・モレル。

「今の、そして今後の政権に、それを期待できるだろうか。残念ながら、今はみんな(テロの脅威より)大国間の競争に目を向けている」

いくら最新鋭の無人偵察機を飛ばしても、テロリストの動向を監視することは難しい
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