私自身、『もっとリッチに』を書くに当たってマイケル・ルイスやマルコム・グラッドウェルといった優れたノンフィクション作家の本を参考にした。とはいえ、クローニングとはただ対象をなぞって複製することではない。真に頭の切れる人々が手に入れた習慣やひらめき、行動指針を理解し、それを自分の環境に当てはめる方法を探ることだ。

自分自身の才能に合っているかどうかも重要だ。私がタイガー・ウッズのまねをしようとしても意味がない。

投資家としての自己を分析すべし

私が取材した大物投資家たちの多くは「たいていの人はインデックスファンドを買うべきだ」と語っていた。

投資家としての自分を客観的に分析できるなら、それは大きな武器になる。自分は投資というゲームで勝てるタイプの人間か。情報面で有利な立場にあるか。ほかの人より知識は豊富か。相場が下落するとすぐに動揺してしまう性格か。相場が急騰すると浮き足立ち、自分もブームに乗っかろうとしてしまうタイプか。

自分は投資で勝てるタイプの人間だと思ったら、バフェットやパブライといった人々の行動原則を参考にすればいい。だがやはり大半の人にとっては、インデックスファンドに絞って分散投資するのが賢いやり方と言えるだろう。

若くない人が投資で資産形成することは可能か

年齢次第だが、まずは手持ち資金を減らさないように努めることが肝心だ。攻撃的な投機で大きなリスクを冒したりすれば、出遅れている上にさらに後れを取ってしまいかねない。生活に必要な金まで失って、時間がさして残されていないのに資産形成をやり直す羽目になっては元も子もない。

少々の負けにも耐えられる体力を付けるには、負債を減らすかゼロにするとともに、過剰な支出がないか目を光らせるのが肝要だ。身の丈に合った暮らしをするといった比較的地味な対策を取れば、長期的に辛抱強く株価の上昇を待つ投資が余裕を持ってできるだろう。手元不如意になって悪いタイミングで現金化する必要に迫られることもない。

本書で私は、伝説的投資家のアービング・カーンの言葉も引用した。取材した当時、彼は108歳だった。

カーンは私に、投資の秘訣を「安全」に尽きると語った。「マイナス面を考慮することは、投資家がやらなくてはならない何よりも大事なことだ。この作業は、利益獲得のためのいかなる検討にも先立ってすべきである」

これは年齢を問わず、みんなに当てはまることだと思う。真っ先に考えるべきは、損を出さないということだ。年齢が高くなってから始める人は、失敗した分を取り戻す時間がないから余計にそうだ。

今のように市場が強気に傾き、警戒心を手放してしまう人が多いときにはなおさら、失地回復のためにむちゃな運用で大き過ぎるリスクを冒すのは避けたいところだ。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます